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9家族信託のメリット・デメリット
●メリット
①成年後見制度ではできないことができる。
任意後見契約を結んだ後見人は、本人の判断能力が衰えるまでは財産の管理はできませんが、家族信託であれば、判断能力があるうちから本人の希望する人に財産管理を任せることができます。
成年後見制度では本人の財産を保護する必要性から、あくまで財産の維持・管理が基本であり、本人の財産が減る行為は認められていません。たとえば、成年後見人が、本人名義の居住用財産を売却するためには、家庭裁判所の許可が必要です。一方、家族信託は自宅売却の許可を得る必要はありません。
成年後見制度では家庭裁判所に後見人の選任を申し立てをする必要がありますが、家族信託は、家庭裁判所の関与がないので自由度が高くなります。
②遺言と同じように自らの意思で資産の承継者を決めることができるため、遺言の代用とすることが可能。
家族信託は遺言書よりも優先して適用されます。遺言書・家族信託の両方とも、財産の承継先を生前に決めておくことができますが、家族信託の契約書の内容が優先されます。
③遺言書ではできなかった二次相続以降の財産の承継先を指定できる。
信託契約では信託財産から得られる利益を受け取る「受益者」が死亡した場合に備えて、次の受益者をあらかじめ指定しておくことができます。
たとえば、受益者である父親の死亡後に、父親の意思にのっとって母親の介護費等に信託財産を使うことも契約次第では可能です。
本人の希望する順番で何段階にも受益者の指定が可能になります。
これにより、相続関係が複雑な家庭(前妻と後妻との間に子がいるケース)などの資産承継や事業承継などでは、この機能が大きな効果を持つ可能性があります。
このような信託を「受益者連続型信託」といいます。
④認知症による資産凍結を防げる
認知症になるとあらゆる契約行為ができなくなりますが、家族信託をすることで、本人が認知症になっても、資産凍結されることはなく、受託者が財産の管理や処分がスムーズに実行できます。
収益物件を所有する本人が認知症になったとしても、その後の家賃集金や建物の維持管理、管理会社との管理委託契約の締結など、収益物件に関する一切の業務を、受託者が「受託者の名前」で管理、処分することができます。
委託者が介護施設に入所して空き家になった実家を受託者の判断で処分して、その資金を委託者の生活費等に充てることもできます。
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長谷川三橋貴明三橋貴明
⑤委任・後見・遺言を一本化できる。
⑥不動産の共有によるリスクを回避できる
共有不動産では、所有権を持つ人が1人でも認知症などによって判断能力を欠いてしまうと、共有者全員の同意が必要な行為(売却、建て替え、大規模修繕)ができません。
一方、家族信託では不動産の管理権限を受託者が持つため、売却や大規模修繕を含めた不動産の管理・運用が可能です。
⑦受託者の判断でいつでも銀行口座から出金できる。
⑧財産の名義を変え、管理ができる。
信託された財産の名義は、財産を管理する受託者の名義に変更します。そのため、財産の管理がしやすくなります。
⑨倒産隔離機能がある。
家族信託には、将来委託者や受託者が、信託財産に関係のない多額の債務を負ってしまった場合でも、信託財産は差し押さえられないという倒産隔離機能があります。破産回避、破綻回避と呼ばれるものです(信託法23条・25条)。
「委託者=受託者」という形で家族信託を利用することも可能です。このような場合を自己信託といいます。自己信託にも「倒産隔離機能」が認められます。自己信託は公正証書によって事前に行っておく必要があります。
ただし、最初からこの機能を悪用して、財産隠し等を目的とした信託は「詐害信託」となり信託契約の効果を否定されます。
⑩配偶者の認知症対策に活用できる。
配偶者が認知症で判断能力がなくなっていたとしても、家族信託で、「自分が死亡したら受益者は妻に変更する」と定めておくことで、受益者の変更にあたって遺言書や遺産分割協議書も必要とせず、配偶者の生活のために財産を利用することが可能です。
委託者の判断能力が低下・喪失しても、本人の意思確認手続きを必要としないので、「資産凍結」をされることはなく、受託者主導で財産管理や処分がスムーズに実行できる。
本人が認知症になった時に備えて特定の人を財産管理者に指名しておく方法としては、成年後見制度(任意後見)もありますが、成年後見制度(任意後見)では実際に本人が認知症になるまでは財産管理の委任をスタートさせることができず、後見開始後も金額が大きい財産の処分を行う際には家庭裁判所の許可を得なければならない。
⑪相続時の負担が軽減される
家族信託の組成をきっかけに相続について親族間で話し合い、全員が元気な内に納得できる財産の承継方法を決めておくと、遺産分割による家族の負担やトラブルの軽減につながります。
⑫事業承継対策ができる
家族信託では、自社株式を信託することにより、委託者の認知症に備えた事業承継対策が可能です。
委託者が株を渡すことに難色を示すようであれば、受託者を特定の人物ではなく「委託者と受託者を含む親族で構成した一般社団法人」にすることもできます。
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●デメリット
①成年後見制度でないとできないこともある。
家族信託は財産の管理や処分に必要な行為を家族に委ねるものですが、成年後見制度では身上配慮義務が規定されています。
本人の法定代理人となる成年後見人でなければ、身上監護に必要な契約等(施設入所や入院の際に必要な契約等の代理)が十分にできない場合があります。
②損益通算ができなくなる。
信託財産の中に収益不動産がある場合、信託財産から生じる不動産所得にかかる損失は、信託財産以外からの所得と損益通算をして課税所得を減らすことはできません。そしてその損失を翌年へ繰り越すこともできません。損失はなかったものとみなされます。
また、信託契約を複数に分けた場合も、それぞれの信託契約をまたいだ損益通算もできません。
節税の面では、家族信託は適切ではありません。家族信託はあくまで家族の意思で家族の財産を守り、引き継ぐことに重きを置いた制度だからです。
③遺言でできて、家族信託でできないこともある。
例えば、全財産を長男に相続させたいというような場合に場合、相続発生時のすべての遺産を信託契約に入れることは難しいので、そのような場合は遺言を併用します。
④受託者の負担が大きい
家族信託を利用すると、財産の管理・運用業務を担うのは受託者になります。
⑤税務申告の手間が増す。
資産の一部または全部を信託財産に入れた場合、そこから年間3万円以上の収入がある場合は、信託計算書・信託計算書合計表を毎年1月31日までに税務署に提出しなければなりません。
受託者は、信託財産の評価額が50万円以下の場合を除き、信託財産の種類・所在場所・価額等を記載した調書及び合計表を税務署に提出する義務があります。
受益者は、毎年の確定申告の際に、不動産所得用の明細書の他に、信託から生ずる不動産所得の金額に関する明細書を作成・添付する必要があります。
⑥身上監護権はない
成年後見制度と異なり、家族信託には委託者の心身の健康や生活を管理し見守る、身上監護の権利や義務はありません。たとえば、委託者に関する医療契約を家族が自由に結びたい、あるいは介護施設への入退所を委託者に変わって管理したいという場合は、後見人に身上監護権がある成年後見制度の方が向いています。
ただし、家族という立場なら入院や入所手続はできますから、実質的には家族が受託者になっていれば身上監護面でも対応可能です。
⑦家族信託の実務に精通した専門家が少ない。